KSKの概要

理事長挨拶

理事長 草刈 保廣

カンサイ建装工業株式会社 取締役
日之出塗装工業株式会社 代表取締役会長

  • ●経歴:
    (社)日本塗装工業会元安全副委員長・検定委員
    労働厚生大臣賞受賞
    岸和田商工会議所元常議員
    岸和田だんじり観覧席元実行委員長
    瑞宝双光章受賞
  • ●著書:
    急げ岸和田祝祭都市 めざせ集客都市構想
    ロスの青い空―娘 福子と裁判員制度を考える

◆修繕積立金を食い物にするバックマージンの問題
 マンションの大規模修繕をめぐって、悪質なコンサルタントがバックマージンを得るために、修繕費用を高く見積もったり、修繕の必要のない箇所を修繕させたりと、マンションの居住者が長年貯めてきた修繕積立金を不正に支出させている事例とそれに対する注意喚起の文書が国土交通省から出されており、これを契機に、毎日新聞、読売新聞、NHKのクローズアップ現代などでも、この問題が取り上げられました。

◆ブラックボックスだった今までのマンション大規模修繕の発注
 マンションの改修工事は、足場の組み立て、防水工事、塗装工事が主なもので、建築基準法上の建設工事ではないのです。この点を認識することが重要です。なぜ重要かと言えば、工事を発注するときの発注方法(見積や工事監理、コンサルタントなどに支払う費用など)が根本的に異なるのです。
 今まで、マンションの修繕工事も、新築工事と同じように設計管理方式、責任施工方式で行われてきました。しかし、これは新築工事の発注方式なので、基本はプロの発注者とプロの設計業者・施工業者との間の言わば「あうん」の呼吸で行われてきたもので、専門家でない方々には、その内容や仕組みが分かりにくく、言わばブラックボックス化していました。
 しかし、修繕工事は新築工事ではなく、発注者も管理組合の理事長で、プロの発注者ではありません。そのプロでない発注者がブラックボックスを抱えながら発注するのはとても不安なことです。

◆不安を解消するオープンブック、そしてプロポーザル方式
 そこで関西分譲住宅仕上業協同組合(以下、KSK)では、修繕工事の内容や施工業者が受け取る利益、必要であればそこで働く職人の賃金に至るまで全てを開示して管理組合 の皆様に提示する、オープンブック方式を採用しています。このオープンブック方式の採用で、ブラックボックスの部分がなくなり、更に、発注の責任者である管理組合の理事長や理事会が、修繕積立金の支出に関する居住者への説明責任をより容易に果たすお手伝いも出来ることになります。
 ただ、工事費用を全て開示しても、それで工事が出来るというわけではありません。工事の業者を選定する作業、工事の監督をする作業、工事が適正に行われているかどうかの検査をする作業が発生してきます。業者選定に関しては、候補業者がそれぞれにオープンブック方式で工事価格を提示して、発注者である理事会は提示された工事内容・金額などについて、必要があれば提示業者に内容を確認して、納得がいけば発注することになります。ただ、この作業には、どうしても専門的な知識が必要となる部分もありますので、それをお手伝いするという役割を持った「サポーター」をおいて修繕工事を円滑に進めて いくことを、KSKは提唱しています。
 KSKのメンバーは、あのスカイツリーを建設した大林組など大手の建設会社の元で様々な工事にかかわってきた現場のプロ集団だと自認しており、サポーターとしての役割も、施工業者としての役割も十分果たせるものと自負しております。

◆われわれKSKに向けられる期待
 2017年12月2日に開催したセミナーは、国土交通省の方にもマンションをめぐる最近の課題などのついてのご講演を頂き、実際にマンションの大規模修繕に携わっている工事関係者や設計士に集まってもらってのパネルディスカッションを開催しました。
 セミナーにご参加頂きました方々からは、私共のKSKへ、もっと詳しい説明を個別にして欲しいなどのご要望を頂き、すでにその為の日程調整と打合せも進んでおります。
 KSKは設立当初から国土交通省とは密接な関係がありました。今から7年前、当時は建設業界にダンピングの嵐が吹き荒れ、「安かろう悪かろう」という工事が世の中にまかり通っていました。しかしこのままでは建設業界の将来が危ういということで、「地元の工事を地元の業者で、適正な工事を行う」ことを目的に、意識ある業者が集まってKSKを結成いたしました。地元の工事は地元の業者で行うべきだと思うのは、地元で活動している「顔が見える業者」が工事をすることで、手抜きなどの不適正な工事が抑止される可能性が高いということが理由です。これは特に、公共工事と言うよりも、民間のしかも、リフォームやマンションの修繕工事のような、プロでない発注者の工事について言えることです。実際にリフォーム工事では、発注者をだますような工事が行われて問題になったことがあるのは、皆様のご記憶のとおりです。
 このKSKの設立趣旨は国土交通省の建設産業政策、マンション政策とも一致し、お互いに情報交換しながら、歩んで参りました。12月2日のセミナーに国土交通省から講師を派遣して頂いたのも、今までのKSKの活動の成果の一つだと思っております。

 今後もKSKはマンションの大規模修繕工事に関して、行政と密接に連絡を取りながら、管理組合に役立つ活動を展開して参ります。

関西分譲住宅仕上業協同組合
理事長
草刈 保廣



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